塗装歴23年の職人が本音で語る④
高い塗料を選べば長持ちする。本当にそうでしょうか?
現地調査をしていると、お客様からこんな質問をいただくことがあります。
「せっかく塗装するなら、一番高い塗料がいいですよね?」
その気持ちはとてもよく分かります。
できるだけ長持ちさせたい。
一度塗装したら、少しでも長く安心して暮らしたい。
誰でもそう思うはずです。
でも、塗装歴23年の僕だからこそ、お伝えしたいことがあります。
高い塗料を選んだからといって、そのお家にとって一番良いとは限りません。
昔に比べると、今の塗料は本当に性能が良くなりました。
シリコン塗料も。
フッ素塗料も。
無機塗料も。
それぞれ耐久性が高く、しっかり施工すれば十分長持ちする塗料です。
だから私は、上塗り塗料のグレードだけを見て判断することはありません。
それよりも大切なのは、
「その塗料を、どんな下塗り材と組み合わせるのか。」
そして、
「そのお家に合った塗装システムになっているのか。」
そこだと思っています。
例えば、もともと湿気を外へ逃がしやすい外壁があります。
その壁に、湿気を通しにくい弾性系の下塗り材を塗り、さらに艶の強い上塗り材で表面を覆ってしまったらどうなるでしょうか。
壁の中にある湿気の逃げ道が少なくなります。
逃げられなくなった湿気は、塗膜を内側から押し続けます。
その結果、膨れや剥がれの原因になることがあります。
これは、塗料の性能が悪いからではありません。
高性能な塗料を使っていても、下塗り材の選定や塗装システムを間違えてしまえば起こる可能性があります。
上塗りも同じです。
「艶ありの方が長持ちする。」
そんなイメージを持たれている方も多いと思います。
もちろん、艶ありが適しているお家もあります。
でも、すべてのお家がそうとは限りません。
外壁材の種類や状態によっては、艶を抑えた塗料や透湿性を考えた専用塗料を選んだ方が、結果的に長持ちすることもあります。
だから私は、
「一番高い塗料でお願いします。」
と言われても、すぐにはおすすめしません。
まずは外壁材を確認します。
現在の塗膜の状態を見ます。
湿気の影響はないか。
以前どんな塗料が使われているのか。
そこまで確認してから、
「このお家には、この塗装システムが一番合っています。」
とご提案しています。
23年間、この仕事をしてきて思うことがあります。
塗装工事は、一番高い塗料を選ぶ仕事ではありません。
そのお家に合った材料を選び、
下塗りから上塗りまで、相性を考えながら組み合わせる仕事です。
つまり、塗料を選ぶ仕事ではなく、塗装システムを設計する仕事だと思っています。
だから私は、塗料の価格だけではなく、そのお家に本当に必要な工事をご提案したい。
それが、お客様のお家を一番長く守る方法だと信じています。
次回は、
「保証があるから安心」は本当?保証書を見る前に知ってほしいこと
について、23年間の経験をもとにお話ししたいと思います。

